誰のための政策か 2008 11 1
日銀が、まるで視力のような、いや近視のような政策金利を、
さらに引き下げたことに対して、
このようなコメントが、11月1日の日本経済新聞にあります。
「個人の利子所得を低下させ、個人消費に悪影響を及ぼす可能性がある。
投資家が低金利の円を売って外貨を買った、
『円キャリー取引』を手じまったのが、今回の円高の原因。
金融政策の判断が為替相場の安定に偏りすぎると、
米国などの金融緩和に、つき合い続けなければならない。
一定の円高を容認できるよう、内需を拡大する必要がある」
(クレディ・スイス証券チーフ・エコノミスト)
アメリカには、借金は美徳とする「借金文化」のようなものがありますが、
日本には、貯金民族と言われるように「貯金文化」があります。
さて、日本には、巨額の個人金融資産があります。
その半分以上を所有している高齢者は、
今回の利下げを、どう思ったでしょうか。
もちろん、「輸出企業を守るために利下げをした」という政策も、
正しいことだと思います。
ただし、そう決断したならば、
誰にでもわかるように、はっきり主張すべきだと思います。
どうも、日銀の会見は、禅問答のように、はっきりしないと思います。
昔の金融政策は、それでもよかったのかもしれません。
一部の人しか理解できない「日銀語」を使って会見すればよかったのでしょう。
しかし、これからの金融政策は、
国民にわかりやすい、理解しやすい金融政策であるべきです。
日銀は、金融機関だけでなく、国民に対しても説明責任があると思います。